今日は競馬の話。しかも長い。分からない人はゴメン。
今週はGIの中休みで、メインレースは東京がアルゼンチン共和国杯(GII)、
京都は2歳牝馬限定戦のファンタジーS(GIII)と、大変地味な興行なのですが、
不思議と、徒歩圏内のコンビニではどこでも早々にブックが品切れとなっていた。
ジャパンCだったらイザ知らず、なぜ、今週のブックがあちこちで売り切れるのか、ナゾ。
アルゼンチン共和国杯って、そんなに人気のあるレースなのかなぁ?
個人的には、アルゼンチン共和国杯には、少々思い返すことがあります。
定期的に東京競馬場に通い始めた96年のレースが、
初めてライブでアルゼンチン共和国杯を見た、最初のレースでした。
奇しくもこの日は
ナリタブライアンの引退式でした。
しかし、私のお目当てはナリブーではなく、
同年フサイチコンコルドでダービージョッキーになった藤田伸二騎手(笑)。
当時は端正な顔立ちも相まって「若武者」なんていわれていたんですよ。
あのころはホント、カッコよかったですねぇ(今はチト怖い)。
ま、この藤田騎手、関西の所属なので関東に住む私は
なかなかそのお姿を生で拝見する機会がありません。それが、
恐らく1番人気であろうオースミベストで久々の東上ということで
いそいそ東京競馬場にはせ参じたと言う次第だったわけです。
ナリブーの引退式だと知ったのは競馬場に到着してからで、すごい人出でビックリしました。
このレース、競馬が好きな方はご存知でしょうが、
勝ったのは、
エルウェーウィンという馬でした。14番人気の馬です。
2着はトウカイパレス(3番人気)、3着はカミノマジック(2番人気)で、
私が応援していた藤田騎手&オースミベスト(1番人気)は5着……。
今でこそそんな体力はありませんが、当時はレースは絶対ゴール前で見てました。
爪先立ちになり、人ごみの隙間からじっとターフに目を凝らす。
新聞も広げられないから、出走メンバーは暗記しちゃう。
今となってはそんな自分、信じられない(笑)。ともかく、その日もそうやって見ていました。
結構レースは速い展開だったと思います(違っていたらごめん)。
私の(笑)オースミベストは終始4~5番手を追走。
わー、前にいる馬はキビしそーだなーと思ったそのとき、
「エルウェー! エルウェー! わぁっ、どうしよう。エルウェーが、エルウェーがぁぁ」
とまぁ、大変な叫び声が斜め前から。
エルウェー? 何だ? ああ7枠の馬か。南井が乗っている馬だ。
速い展開を利して、後方待機の馬が勝負どころでどわわんと上がって来ていたのですが
その中にエルウェーウインも混じっていました。
エルウェーウインは、92年にあの
ビワハヤヒデを破って2歳チャンピオンになった
れっきとしたGI馬ですが、そこからはイマイチ。マイル~2000mを中心に
先行して差され、差して届かずを繰り返し、今回が初めての長距離戦でした。
つまりは、オッサン何しに出てきたの? ってな感じです。
それなのに、ゴール前の伸び脚は群を抜いていました。外からビュンって。
先頭に立った瞬間、男性の叫びは悲鳴になっていました。
もう、ほとんど半狂乱になっての名前の連呼です。
本人もどれだけ「エルウェー!」と叫んだか、よく分かっていないのではないでしょうか。
あまりの勢いに蹴落とされ、自分の馬(笑)を応援する余裕もなかった私。5着だったし。
レースが終わって、ちょっと人ごみが緩んで、男の顔を見た。
馬券を握り締めて放心していた。泣いていた。涙が止まらないといった感じだった。
ちょっともっさりしたサエない感じの人で、嫁か彼女かと一緒に来ていて、
彼女はしきりに「よかったねぇ」を繰り返していた。
なんだか忘れられない光景で、毎年、この時期になるとあの絶叫と涙を思い出します。
一頭の馬を追いかけて、勝った、負けた、惜しいレースが続いた、
怪我をして休養を余儀なくされた、などその馬の節目節目を自分になぞらえて見る人は
少なくはないような気がします。先の男性も思うところがあったのでしょう。
あれから競馬場でいろんな人を見たけれど、
自分自身も含め、あんなに純粋に(そして派手に)馬を応援した人はそれっきり見てない。
ある程度ドライにレースを見ることが多い今の私にとっては、
なんだかまぶしい記憶のひとつなんですよね。
ちなみに、ワタクシ、それ以降も、一度もこのレースを当てたことがない。
当てに行って当たらないのだから、今年は思い入れ馬券でも買ってみようか、
仕事でコンビを組んでいたけど、あるときフッと行方知れずになったOさんイチオシの
スウィフトカレントがレースに出るらしい。きっとOさんもどこかで応援しているに違いない。
んじゃぁ、一緒に乗ってみるか(私は消し屋なのでイヤがられそうだが)、
などと考えている金曜の午後なのでございます。